第41報
乾電池の容量測定 その4 (mht041_G622)
===== 単3、単4 乾電池(マンガン アルカリ)の 容量 mAh =====
2016/6/22up、6/29誤り訂正 by hiro
1.はじめに
先の、 乾電池の容量測定 その1(第38報) 、 乾電池の容量測定 その2(第39報) 、 乾電池の容量測定 その3(第40報) に引き続き、本報では、単3、単4 乾電池について100Ω負荷における容量の測定を行いました。
2.測 定 方 法
電池のホルダーには、Phot.1 に示すニッケル水素二次電池の充電器(100円ショップ品)を利用しました。電池のホルダー部分(充電器の前面)はそのまま利用しました。このホルダーは単3、単4兼用になっており、本測定の目的には打って付けのものでした。
裏面は充電機能を取り外し、負荷になる抵抗(1/4W形 100Ω)をハンダ付けしました(Phot.2)。 回路構成は右図の通りです。 電圧計Vにはデジタル電圧計(M-830C オーム電機)を使用しました。 Table 1 をご覧ください。電流は電圧を負荷抵抗の100Ωで割って求めました(式(1)、電流mA)。端子電圧の測定は経時変化の速さを考慮して適当な時間間隔(始め 数分〜中ほど 数時間)で行いました。 電気容量は時間間隔の前後の電流の平均値に時間間隔をかけてこの間隔区画の電気量(式(2)、前後間 mAh)としました。この電気量を時間で積算して、その時点までの電池の放電容量(式(3)、開始からのmAh)としました。 測定に使用した電池は次の通りです。参考までに乾電池の質量(重さ)も測定しました。 3.測 定 結 果 と 考 察
測定結果をGrf.1 に示しました。上下二つのグラフからなりますが、下は放電時間に対する端子電圧の変化です。上は放電した電気量の積算値です。 電圧の経時変化のパターンはアルカリ乾電池とマンガン乾電池では異なります。アルカリ乾電池では0.8V点まで比較的緩やかに低下して、その時点以降で急速に電圧が低下しています。さらによく見ると0.9V辺りで電圧低下の停滞がみられます。 マンガン乾電池は1.1V辺りから低下の勾配が大きくなり、さらに0.6V辺りから多少低下速度が緩和されることが分かります。 上の図には放電電気容量mAhをプロットしています。当然 時間とともに放電電気量は増加するわけですが、放電時間の終りに近い部分では上昇の勾配が緩くなっています。この辺りでは端子電圧の低下で放電電流が低下しているためです。 すなわち、負荷は100Ωと一定ですから、電流は、始めは端子電圧が1.5V程度ですから15mA程度流れていたものが、放電終了に近い 例えば0.8Vでは 8mAに低下するためです。 なお、単3形アルカリ乾電池としては 3銘柄(プロットマーク 空色、赤色、橙色)について測定しましたが、差は殆どなくほぼ同じ測定結果でした。銘柄が違っても特性は揃っていました。 放電終止電圧を1.0Vと0.85Vとしたときの、その端子電圧に至る放電時間(h)とその時点までの放電電気量(mAh)を整理した結果をTable 3 に示します。 Table 3 単3、単4 乾 電 池 の 放 電 容 量
すなわち、この結果から、各電池の容量は ・アルカリ単3形乾電池は2500mAh(放電終止電圧1.0V)〜2950mAh(0.85V) ・アルカリ単4形乾電池は1200mAh( 〃 )〜1350mAh( 〃 ) ・マンガン単3形乾電池は1080mAh( 〃 )〜1140mAh( 〃 ) ・マンガン単4形乾電池は 500mAh( 〃 )〜 520mAh( 〃 ) また、各乾電池の容量を倍率で比較すると ・アルカリ乾電池、マンガン乾電池とも単3乾電池は単四乾電池の2倍強 ・単3乾電池、単4乾電池ともにアルカリ乾電池はマンガン乾電池の2.5倍前後 あることが分かります。 一方、 Wikipediaに乾電池の容量について次の記載があります。 ◆アルカリ乾電池の容量の目安として、 ・単1形 : 12,500 - 17,000mAh 単2形 : 5,700 - 7,700mAh ・単3形 : 2,000 - 2,700mAh 単4形 : 850 - 1,300mAh 単5形 : 650 - 900mAh ◆100mA未満で使用した時の目安として次の記載もあり。 ・単3アルカリ : 2,000 - 2,700mAh ・単3マンガン(黒) : 1,000mAh 単3マンガン(赤) : 700mAh これらの電池容量は放電終止電圧が何ボルトの場合か記載はありませんが、本報の測定結果( Table 3 )は 概ねこれらに準じた値であることが分かります。 Graf.2 は、乾電池の質量(Table 2 の最右列)と放電容量(Table 3 の放電終止電圧 1.0V)の関係をグラフにしたものです。 当然ながら、各乾電池の容量(放電電気量)は電池の質量(重さ)にほぼ比例することがわかります。 同じ型の乾電池の場合、アルカリ乾電池はマンガン乾電池の1.3〜1.4倍の質量があります。 また、放電電気量は、同じ質量で比較するとアルカリ乾電池はマンガン乾電池の1.7倍ほどあります。すなわち、アルカリ乾電池の合剤(活物質)はマンガン乾電池の合剤の大略 1.7倍の電気を発生する能力を持っていることになります。 4.ま と め
単3形乾電池と単4形乾電池について100Ω定抵抗負荷に置いて放電時間と端子電圧、放電電気量の関係を測定いたしました。 ◆(1) 単3形アルカリ乾電池の放電電気容量は2500mAh(放電終止電圧 1.0V)〜2950mAh(放電終止電圧 0.85V)でした。 単4形乾電池の放電電気容量は1200mAh(放電終止電圧 1.0V)〜1350mAh(放電終止電圧 0.85V)で、単3形は単4形の2倍強ありました。 ◆(2) アルカリ乾電池とマンガン乾電池を比較すると単3形でも単4形でもアルカリ乾電池はマンガン乾電池の大略 2.5倍の放電容量がありました。 ◆(3) 乾電池の質量(重さ)は、同じ形の乾電池の場合アルカリ乾電池はマンガン乾電池の1.3〜1.4倍の質量があります(Table 2 および Graf.2 参照 )。 また、電池の単位質量(重さ)当たりの放電容量は、アルカリ電池はマンガン乾電池の大略1.7倍の放電容量があります。すなわち、アルカリ電池の合剤(活物質)は同じ質量のマンガン乾電池の合剤(活物質)よりも大略1.7倍の電気を発生する能力を持っていることになります。 以上 Webページの作成に使用したH/WとS/W
「紫式部の花」2016/6/18 アリオ深谷 屋上庭園 以上 |