第39報 乾電池の容量測定 その3 (mht040_G103)

===== 単三マンガン乾電池と単三アルカリ乾電池の容量(mAh) =====

 

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2016/1/9 by hiro


1.はじめに

  先に、 乾電池の容量測定 その1 (第38報) で、豆電球を負荷にして単三乾電池の容量を測定しました。 これは単に時間の経過に伴う端子電圧変化を測定したもので、当然 負荷が変われば放電時間は変わります。   負荷が変わった場合の放電時間を求めるには放電終止電圧に至るまでのAh(mAh)を知る必要があります。
  豆電球の電圧-電流特性(V-I特性)を知れば、その電圧における電流が分かるので、電圧の経時変化から電流の経時変化を知ることができ、これを時間で積算すればAh(mAh)になります。
  前回、 豆電球の電圧-電流特性を測定した (その2-- 第39報) ので、本報では その結果を前前報 (その1-- 第38報) に適用して乾電池のAh(mAh)を求めます。

2.乾電池の容量(mAh)を求める

2.1 電流の経時変化を求める
  先の報告で豆電球の端子電圧と電流の関係を測定しグラフを作成し近似式を求めました。すなわち、0.26V以上では次の式1が成立します。
     この式の右辺第1項の e に第38報の グラフ1の 各時点での電圧を代入すればその時点での電流が求まります。そしてこの電流を時間で積算すれば容量mAhが求まります。
  具体的にはエクセルを用いて求めました。

Table1 エクセルで mA および mAh を求める
  

  Table1は第38報で電圧の経時変化を測定した結果(Gp社品アの場合)の一部です。B列に経過時間が書き込まれています。C列にB列の各時点での電圧が書き込まれています。
  D、E、Fが今回追加した列です。D列に式1を書き込んで電流を求めています。
Grf.1 放 電 時 間 と 電 流

  Grf.1のピンク色の▲が このようにして求めた Gp社品アルカリ乾電池の電流の経時変化です。緑の▲は Mx社品マンガン乾電池の同じく電流の経時変化です。○印のプロットはすでに第38報で報告した各電池の電圧の経時変化です。電流は これらとほぼ並行関係にあることがわかります。

2.2 容量 mAh を求める
  Table1のE列には、一つ前の時点とその時点の電流の平均を出して それに一つ前の時点とその時点までの時間をかけて その時刻間のmAhを計算しています。
  F列ではE列のmAhを積算しています。つまり、放電開始時点からのmAhです。Grf.2には「電流(mA)の時間による積算値 /mAh」としてプロットしています。

Grf.2 放 電 時 間 と 積 算 mAh

  ピンク★と緑★がそれぞれGp社品アルカリ乾電池 および Mx社品マンガン乾電池についてのmAhの経時積算値です。グラフの中に放電終止電圧が 2個直列で2.0Vと1.7Vの時点までのmAhも書き込んであります。第38報の豆電球の点灯時間の場合と同じく、アルカリ乾電池はマンガン乾電池の4倍強の容量(mAh)があることがわかります。   


3.ま と め

  先に(第38報)、豆電球負荷における電圧の経時変化測定から、マンガン乾電池とアルカリ乾電池では同じ放電終止電圧に至る時間が、アルカリ乾電池の方がマンガン乾電池より4倍ほど長いものの、電池の各銘柄間ではほとんど差が見られなかったことを報告いたしました。
  そこで今回、アルカリ乾電池としてはGp社品を、また、マンガン乾電池としてはMx社品を代表として、前回測定した豆電球の電圧-電流特性を基に、各電池のmAhを求めました(Grf.2)。
  放電終止電圧を1.0Vと0.85V(電池一個当り)とした場合の容量を次の表にまとめました。

Table2 単三乾電池の容量---豆電球の点灯時間(h) と 容量(mAh)
  

    第38報で測定した豆電球点灯時間は細字、今回求めた容量(mAh)は太字で書いています。アルカリ乾電池はマンガン乾電池の4倍強の容量があることがわかります。

  単三形の電池としては、ニッケル-水素充電池も広く使われています。容量は銘柄により1300〜2500mAh(電池側面に記載されている)のものが出回っています。アルカリ乾電池は約1700mAh(終止電圧1.0V)、約2000mAh(終止電圧0.85V)ですから ニッケル-水素充電池とほぼ同等の容量であることがわかります。
  公称電圧は、アルカリ乾電池が1.5V、ニッケル水素充電池は1.2V ですから、電力量Whとしてはアルカリ乾電池が有利ということなります。しかし、充電池の場合 繰り返して使用できるわけで、実用的、経済的には このことも考慮に入れ、さらに、実使用上の様々な条件を考慮に入れて評価する必要があり 適材適所/住み分け があるのでしょう。追って、充電池の特性も測定してみたいと思います。
以上

  
Webページの作成に使用したH/WとS/W
  • 「LogPlot」-- グラフの作成
  • 「IrfanView」-- 画像の編集
  • 「エクセル」-- グラフ化のための数値データの編集
  • 「ワード」-- グラフへのテキストなどの挿入
  • 「ez-HTML」-- Webページの作成
  • 「TeraPad」-- Webページの作成

「懐かしいガス灯」と水銀灯 (明治149年)2016/1/7 JR籠原駅南口

以上
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