第38報 乾電池の容量測定 その1(mht038_FA06)

===== 単三形 マンガン乾電池とアルカリ乾電池の放電特性- - - 豆電球負荷 =====

 

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2015/12/06 by hiro


1.はじめに
  身近に非常に多くの電池が出回っています。多くのメーカーが競って販売しています。これら電池の特性は果たしてどのようなものなのでしょうか? 手始めに単三乾電池の放電特性を測定しました。

2.測定
  乾電池はすべて100円ショップから購入したものを使いました。
  測定に写真のようにカバーとレフレクターを外した古い登山用にヘッドライトを使いました。単三乾電池を4本使うもので、各2本並列にしてこれらを直列につないで3V として使うようになっているものですが、各並列の1本を取の除いて1本ずつの直列で3Vになるようにして使いました。

写真1.測定準備中 - - 分解したヘッドライトと豆電球、テスターなど

   豆電球は定格が2.5Vで0.30Aである Philips 2.5V 0.30A HK を使っています。単純に計算すると豆電球の抵抗は2.5÷0.3 = 8.33で約8Ωのわけですが フィラメントの温度によって抵抗は大幅に変わるので単純に電流の計算はできません。この点については別途検討するとして、今回は豆電球を点灯し その経過時間と端子電圧の関係を測定することにしました。
  なお、ヘッドライトの上部にスイッチがありますが このスイッチは古いせいか接触抵抗が少し大きいので写真のように緑の線で短絡して使いました。オン/オフは直接 豆電球を抜いたりねじ込んだりすることで行いました。
  電圧測定にはアナログテスターを使いました。写真にはデジタルテスターも写っていますが とくに両者の差は認められなかったのでアナログテスターを使いました。
  電圧測定はもちろん電球と並列にテスターを入れて測定したわけですが、テスターの入力抵抗は20kΩ/Vで豆電球の抵抗に対して十分に高いので電圧測定のためにテスターに流れ込む電流は無視できます。
  測定は2015/9/6〜9/16にかけて行いました。この間 室温は21〜22℃でした。マンションの一室なので室温の変化は緩慢です。

3.結果
   マンガン乾電池について2銘柄、アルカリ乾電池について3銘柄の測定を行いました。結果をグラフ1に示しました。

グラフ1.単三形 マンガン乾電池とアルカリ乾電池の放電特性 - - 豆電球負荷

   マンガン乾電池の測定結果は 青/緑系の色でプロットしました。アルカリ乾電池については赤/ピンク系の色でプロットしました。
各々で銘柄によらず全くと言っていいほど同じ結果を得ました。敢えて差異を指摘するならばマンガン乾電池は2.5V〜2Vの間で Mx社品マ が多少高い(0.1V弱)電圧を示しています。アルカリ乾電池では1.7V〜1.5V辺りから電圧が急降下しますがそのタイミングに違い(高々30分)がある程度です。
実用的観点から放電終止電圧を 2.0V(電池1個当たり1.0V) または 1.7V(電池1個当たり0.85V)とすると、放電開始からその電圧に到達するまでの時間は表1のように判断できます。

表1.放電開始から各電圧に到達するまでの時間(h) - - 豆電球負荷

  すなわち、電池の放電終止電圧を1.0Vとすると放電時間はマンガン電池の1.3時間に対してアルカリ電池は6.2時間で4.8倍長持ちすることになります。放電終止電圧0.85Vでは1.8時間と7.4時間で4.1倍です。
  
4.結論
  豆電球を負荷にして乾電池の放電統制を測定しました。
  実用的見地から放電終止電圧を1.0V〜0.85Vとすると、アルカリ乾電池はマンガン乾電池の約4倍長持ちすると判断できました。
  供試乾電池はすべて100円ショップから購入したもので、マンガン乾電池は6本/100円のものと4本/100円のものが各々 1銘柄づつでした。アルカリ乾電池は、6本/100円のものが1銘柄、4本/100円のものが2銘柄でした。したがって、アルカリ乾電池の価格は マンガン乾電池の高々1.5倍です。これに対して 長持ちの程度はマンガン乾電池の約4倍ですから、少なくとも豆電球を使う用途にはアルカリ乾電池が使い得と云うことになります。
  なお、マンガン乾電池は低負荷/長時間放電に今回は

雑感
  今回の測定で驚いたことが二つあります。
  (1) アルカリ乾電池がマンガン乾電池の4倍も長持ちするとは思っていませんでした。
  (2) 各乾電池の容量は銘柄ごとでバラツキがもっと大きいものと思っていました。今回の測定では供試電池のすべてで差を認めがたい結果でした。

  アルカリ乾電池の値段はマンガン乾電池の高々1.5倍ほどで、こうなるとマンガン乾電池不要論が出るかと思うのですが、低負荷/長時間用途にはマンガン乾電池が使われることが多く、それなりのメリットがるものと思います。今後、低負荷での評価も行ってみたいと思います。
  なお、子供達の電気工作ではマンガン乾電池を使うように限定している場合がありますが、これはアルカリ乾電池は内部抵抗が低いので「短絡した時に大電流が流れて危険!」と云うことだと思います。

以上

Webページの作成に使用したH/WとS/W
皇帝ダリア 熊谷市新堀公民館(FB21)

以上
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