第32報(mht032_DB15)
ワード2010/2013のワードアート
---基本操作と以前のワードアートとの相違/特徴---
2013/11/15、11/27追記 by hiro
1.はじめに
ワード2010およびワード2013のワードアートはワード2007以前のワードアートから大きく変わりました。とくに、ワードアートの変形、拡大/縮小については基本的に変わっているので、後半では変形と拡大/縮小を中心に検討した結果を記述しています。 なお、比較のためにワード2007のワードアートについても触れています。また、最後にエクセルのワードアートについても触れました。 |
2.基本操作
2.1 ワードアートの挿入
(1) ワードアートを挿入したい付近をクリックします。
(2) ワードアートの挿入---[挿入]タブ→「テキスト」グループの[ワードアート]→開いたワードアートの一覧の、例えば、4行3列目の黒い[A]をクリックします。ワード2013では3行1列目がよいでしょう。なお、ワード2013では一覧に出てくるひな形の数がずいぶん少なくなりました。 ちなみに、このワードアートは文字の大きさは既定値のままで36ポイント、書体はMS ゴシックとしました。文字の輪郭は既定値のままで白色で太さは0.75ポイントです。また、黒色(透明度50%)のサイズ3ポイントの光彩(後光)が施されています。 これらの大部分はワードアートの実線枠を右クリック→「図形の書式設定(O)」クリックで開いた「図形の書式設定」ダイヤログボックスで確認および設定することができます。 ワード2013の「図形の書式設定」ダイヤログボックスは既定値では画面の右1/3程にフィックスされた状態で開き邪魔になりますが、ダイヤログボックスの上部をクリックしドラッグするとフローティング状態になって任意の場所に移動できます。ワード2010の「図形の書式設定」ダイヤログボックスは初めからフローティング状態になっています。 ワードアートのテキストの最後に黒いしみがありますが、これは改行マークです。この改行マークにも文字と同じ効果がかけれています。画面上では気になりますが、印刷したものには付きません。どうしても気になる場合は改行マークを選択してフォントサイズを1ポイントとします。こうすると画面上でも見えなくなります。 なお、ワードアートを挿入したときに、テキスト(文字)が枠の中にうまく配置されず、枠の中の途中から始まり2行になる場合があります。ルーラーを表示して調べてみると、インデント(字下げ)が入っていました。インデントを 0 に設定することで正常に表示されました。 2.2 ワードアートの形を変える ワードアートをクリック→点線の枠がついたらその枠をクリックして実線にする(選択)→画面最上中央の「図ツール」タブの直下のの[書式]タブ→「ワードアートスタイル」グループの[文字の効果]→最下の[変形]→「形状」の5行1列目の[大波1]をクリックします。これで形が波状になりました。他の形についても同様に操作します。 この場合、文字のサイズが少し大きくなりましたが、一般に、変形の種類が「形状」では少し大きくなります。逆に「枠線に合わせて変形」では小さくなります。 なお、ワードアートの変形は枠線が点線の状態でも行うことができます。 2.3 ワードアートの色を変える ワードアートを選択し枠を実線にする→「図ツール」タブの直下のの[書式]タブ→「ワードアートスタイル」グループの[文字の塗りつぶし]→カラーパレットが開くので、たとえば[赤]を選択します。 なお、「ワードアートスタイル」グループで[文字の塗りつぶし]の代わりに[文字の輪郭]を選択すると文字の輪郭線の色や太さを変更できます。ちなみに、上のワードアートは前述のように輪郭線は白で太さは0.75ポイントに設定されています。 なお、任意の文字を選択しその文字だけに色を着けることもできます。 2.4 ワードアートの影を付ける ワードアートを選択し枠を実線にする→「図ツール」タブの直下のの[書式]タブ→「ワードアートスタイル」グループの[文字の効果]→[影]→例えば「外側」の1行2列目の[オフセット下] をクリックします。これで影が薄く付きました。 影を大きくしたり影の方向を変えるなど行うにはワードアートを選択し実線枠を右クリックし[図形の書式設定(O)]でダイヤログボックスを開いて行います。すなわち、2010では、「図形の書式設定」ダイヤログボックスの左ペインの「影」をクリック→「影」項目の中の[距離]や[角度]のパラメータを調節します。2013では、「図形の書式設定」ダイヤログボックスの最上段の「文字の効果」アイコン(反射影付きA)をクリック→「影」項目の中の[距離]や[角度]のパラメータを調節します。 さらに 、[光彩]についても同じ要領で文字周辺の光彩(後光状のぼかした影)を調節できます。 なお、任意の文字を選択しその文字だけに影や光彩を付けることもできます。 2.5 ワードアートを虹色にする ワード2010では、ワードアートを選択し枠を実線にする→[書式]→[文字の塗りつぶし]→[グラデーション]→[その他のグラデーション]→[塗りつぶし(グラデーション)]→「標準スタイル(R)」の小さな▼をクリック→4行1列目[虹]→「方向(D)」の小さな▼をクリック→[左方向]→[閉じる]をクリックします。これで虹色のグラデーションが着きます。同様にして「標準スタイル(R)」から「夕焼け」などのグラデーションを選択することもできます。 ワード2013には既定値(「標準スタイル(R)」)として「虹」や「夕焼け」などはなくなっています。「既定のグラデーション(R)」パラメータはありますが、単色のグラデーションが置かれているのみです。虹などのグラデーションは「グラデーションの分岐点」というパラメータがあって、これを利用して自分で設定することになります。すなわち、虹色のグラデーションを着けるには、左右の分岐点の間にほぼ均等に3本の分岐点を入れて、これらに左から赤、黄色、緑、青、紫の色を設定します。 3.以前のワードアートとのおもな相違点と特徴
3.1 ワードアートを選択したときのモード ワード2010と2013のワードアートには二つのモードがあります。その一つを「テキスト編集モード」、もう一つを「拡縮・移動モード」と呼ぶことにいたします。 (1) テキスト編集モード 無造作にワードアートをクリックしすると、変形前のテキスト状態になり点線の枠線が付きます。そしてクリックした位置にカーソルが入ります。この状態が「テキスト編集モード」です。このモードは、ワード2007以前の「ワードアートの編集」ダイヤログボックスに対応するものです。 なお、カーソルが文字間に入らないで全体が灰色または淡青色の選択状態になった場合--とくに、変形の種類が「枠線に合わせて変形」で変形されていた場合--は改めてクリックしてカーソルを入れます。この状態で文字の削除、変更および追加など編集ができます。 (2) 拡縮・移動モード テキスト編集モードで枠の点線をクリックすると、枠は実線に変わります。この状態で四隅と各辺の中央のハンドルをドラッグして枠の拡大と縮小ができます。移動するには枠線をドラッグします。このモードを「拡縮・移動モード」と呼ぶことにします。 なお、ワード2013では枠が実線になった瞬間に変形した状態に戻りますが、ワード2010では枠が実線になってから一旦少し移動して離さないと変形した状態に戻りません。 3.2 ワードアートの文字の編集 文字(テキスト)の編集は「テキスト編集モード」で行います。すなわち、ワードアートをクリックするとワードアートの周囲に点線の枠線がついて、カーソル(縦棒)が入った状態で、文字を書込んだり消したりします。 文字のサイズ、書体の変更は「ホーム」タブ→「フォント」グループから行います。 ワード2010と2013ではフォントの設定を文字単位で行うことができます。変更したい文字を選択し「ホーム」タブのリボンのフォントグループで行います。 第2章で述べた 色(塗りつぶし)、影付け、、光彩、グラデーションなどの効果についても文字単位での設定が可能です。とくに、チラシやポスターでは文字単位で色(塗りつぶし)や光彩の設定を変えると上の図のように面白い効果が得られます。 2007以前では、文字単位での設定はできず、一括しての変更になります。しかし、ワード2007以前でも、1文字毎に個別のワードアートを作ってそれらを並べればほぼ同じことができます。 なお、ワード2010と2013でもワードアートのすべての文字のフォントなどの設定を一挙に変えたい場合には、次に述べる「拡縮・移動モード」に移って、つまり点線枠をクリックして実線枠に変えてワードアートそのものを選択した状態で設定を変更することでできます。当然ながら、すべての文字を選択した状態からでも行えます。 ワードアートの文字間の間隔を変えたい場合には、通常の場合と同様で、「ホーム」タブ→「フォントグループ」のダイヤログボックス表示ボタン(右下隅の小さな右下向き矢印入りの四角)をクリック→開いた「フォント」ダイヤログボックスの「詳細設定」タブ→「文字間隔」で行います。 3.3 ワードアートの拡大・縮小 ワードアートの拡大縮小は「拡縮・移動モード」で行えます。すなわち、枠が実線になっている状態で行います。 拡縮は、四隅のいずれかのハンドルを捕まえて対角方向/反対角方向にドラッグします。このときにShiftキーを押した状態で行うと枠の縦横比が一定の状態で拡縮します。枠線の左右上下の辺の中央のハンドルで、幅だけ、高さだけの拡縮もできます。 しかし、2010、2013では変形の種類によって次のような挙動の違いがあります。すなわち、 (1) [文字の効果]→[変形(T)]→「変形なし」の場合 枠は縮小拡大されますが、文字の大きさは変わりません。 枠の幅が狭くなると改行されて行が増えます。文字のサイズ、書体の変更は「ホーム」タブ→「フォント」グループで行います。 枠のサイズに合わせて文字も拡縮を行うには、以下の(3)のように[文字の効果]→[変形(T)]→「形状」で[四角](1行1列目)を選んで、文字のサイズはあらかじめ小さ目にしておきます。こうすると、拡縮作業をスムーズに行えます。 (2) [文字の効果]→[変形(T)]→「枠線に合わせて配置」の場合 枠を縮小すると文字のサイズは枠の縮小に応じて小さくなります。 しかし、この場合、文字の縦横比は変わりません。枠を拡大した場合には、文字のサイズは設定された文字サイズ以上には大きくなりません。 したがって、変形の種類が「枠線に合わせて配置」の場合には、フォントサイズはあらかじめ大き目にしておいて拡縮作業を行うとよいでしょう。 (3) [文字の効果]→[変形(T)]→「形状」を選択している場合 枠を拡大する方向に変形すると文字も枠の大きさに対応して拡大されます。 枠を縮小する方向に変形していき、文字が始めに設定された文字の幅以下になると、それ以下には狭まらず改行されます。枠の高さを低くして(狭めて)いくと文字の高さは枠の高さに応じて低くなります。 しがたって、変形の種類が「形状」の場合には、フォントサイズをあらかじめ小さ目にしておいて拡縮作業を行うとよいでしょう。 以上、変形の種類ごとでの拡縮の挙動をまとめると、 ・「変形なし」では、枠の大きさを変えても文字の大きさは変わりません。 文字の大きさを変えるにはフォントサイズを変更する必要があります。 なお、変形の種類として「形状」の[四角]を設定して置くと、枠に拡縮に応じて文字も拡縮されるようになります。 ・「枠線に合わせて配置」では、枠を縮小する方向では、枠の縮小に応じて文字も小さくなります。 しかし文字の縦横比は変わりません。枠を大きくする方向では文字は始めに設定したフォントサイズ以上にはなりません。 したがって、この変形の場合には、あらかじめフォントサイズを大き目にしておくと拡縮作業をスムースに行えます。 ・「形状」を選択している場合には、枠を大きくする方向では文字は枠に応じて大きくなります。 枠の縦横比に応じて文字の縦横比も変わります。枠を縮小する方向では枠の幅を狭めていって文字が始めに設定したフォントサイズの文字の幅以下になると改行されます。文字の高さは枠の高さを低くしていくとそれに応じていくらでも低くなります。 したがって、この変形の場合には、あらかじめフォントサイズを小さ目にしておくと拡縮作業をスムースに行えます。 なお、いずれの変形を行ったワードアートであっても、文字の編集 (「テキスト編集モード」) の際には あらかじめ設定された文字サイズに戻り、「変形なし」の場合と同じ状態になります。 したがって、変形の種類が「枠線に合わせて配置」の場合で枠を小さくしている場合には、「テキスト編集モード」では両端側の文字が枠から外れ隠れてしまいテキストの編集がやりにくくなります。この場合、枠を大きくすればよいわけですが、テキスト編集後に枠の大きさを再調節する必要がでてきます。ですから、テキストの編集は始めにしておくのがよいことになります。 3.4 ワードアートの移動 ワードアートの移動は枠線のをドラッグすることで行います。「テキスト編集モード」では点線の枠をクリックして、枠を実線にして、つまり「拡縮・移動モード」として行います。 4. 最後に ワード2010と2013では、ワードアートにより多くの効果を付けることができるようになりました。その分、複雑で扱いにくくなった面もあります。 ワード2007以前と比べてのワード2010と2013の独特の主な効果は光彩と柔らかい影ですが、これらを利用しない場合には「97〜2003文書」互換モードで処理されると簡単です。他のオブジェクトとのグループ化に関してもワード2007以降は扱いにくい面(不具合?)がある1)ので、ワードアートばかりでなく、写真その他の複数のオブジェクトをグループ化する場合などにも「97〜2003文書」互換モードがお勧めです。 なお、「97〜2003文書」互換モードの中、あるいは 2003以前 のワードで、光彩や やわらかい影など を使いたい場合には、別途にワード2010あるいは2013で光彩や やわらかい影を付けたものを作り、これを画像(wmf、jpg、gif、pngなど)に変換して、それを「97〜2003文書」互換モードのワードの文章に貼り付けるという使い方もできます。具体的にはワード2010/2013の本来モードで光彩ややわらかい影の付いたワードアートを作ってこれをコピーし、「97〜2003文書」互換モードのワードの「形式を選択して貼り付け(S)」で、たとえば、図(PNG)を選んで貼り付けます。 しかし、この方法では、コピーされるのはワードアートを選択したときの枠内のみで、文字や影などで枠からはみ出した部分はコピーされません。下の図は第3.3節のワードアート(アーチ状変形、光彩あり)をコピーして図として貼り付けた例ですが、上の部分が欠けています。 このような場合にはコピーの代わりにスクリーンショットをとって 貼りつけてから 不要部分をトリミングで削り落とせばよいわけです。 ところで、エクセルにもワードアートがあわけで、エクセルのワードアートを使えばスクリーンショットをとるまでもない ことがわかりました。 すなわち、 エクセルで作ったワードアートをコピーして貼り付ける場合には、都合の良いことに、選択したときの枠からのはみ出しには関係なく、エクセルで見えている通りのワードアートがワードに貼りつけられることがわかりました。 ワードをインストールしているパソコンでは同時にエクセルもインストールされているはずです。したがって、ワードアートを 図として貼りつけ する場合にはエクセルでワードアートを作成することをお勧めします。 なお、エクセルでは既定のフォントサイズは54ポイントで、ワードの36ポイントに比べて大きいですが、ワードの場合と同様に変形のタイプに応じて適当なサイズに変更してからワードアートの拡縮を行えばよいわけです。なお、エクセル2007では変形のタイプが「枠線に合わせて配置」の場合、枠のサイズを拡縮しても文字サイズは変わらないので、文字サイズは「ホーム」タブの「フォント」グループで変更する必要があります。 最後に、同じマイクロソフトのワードアートでありながら、バージョンごとでの微妙な違い や ワードとエクセルとでの違いなど、仕様?の意味のない? ブレ に戸惑わされました。仕様の統一性/継続性のアップを希望します。 付記:ワードアートをコピー(Ctrl+C)して 互換モードのワードまたは2003以前のワードに単純に貼り付ける(Ctrl+V)と、塗りつぶしなし、線なしのテキストボックスとして貼り付けられます。テキストは、効果を付ける前のフォント(サイズ、書体)となります。 以上 |
文献/参考資料1) 本HP第21報「ワードにおけるバージョン毎のオブジェクト--写真、イラストなど--の扱いの違い」
資料作成に用いたソフトウエア
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